ALETH42 rev2
Planckフォームファクターによる40%ロースタッガードキーボードALETH42の誕生から5年半。
いくつかのキーボードを設計し、いずれもそれなりに使用しているのですが、こじんまりとしたこのALETH42の佇まいが気に入っていてつい引っ張り出してしまいます。
本来の予定ならばALETH54のGBをやるはずでしたが、ただでさえ高額になるところに円安が重なってリーズナブルな価格とすることが出来そうにないため、いったん棚上げし、ALETH42の新バージョンを先にやることにしました。
ところでこのALETH42、前回のGBの際にはPlanckケースの流用を前提とした「ヤドカリ」的商品でした。しかし今回は違います。ケースを新規設計しています。
オリジナルデザインによる削り出しケース
オリジナルとなるケースは小型に抑えながらもボリューム感があり、天面の斜めカットと底面の曲面で少し柔らかな印象に仕上げています。筐体左右の底面は手前側から奥に向かって捻ったような曲面を造りました。繋ぎ目のないワンピース構造です。
素材についてはアルミ、ポリカーボネート、アクリルの試作を行いました。ポリカとアクリルは似ているようで結構色味が異なり、試作の比較では少し青みがかったポリカに対してアクリルは無色に近く、様々なキーキャップを合わせやすいという判断から今回はアクリルを選択しています。仕上げは美しいサンドブラストになります。
Orthoバージョン登場
ALETH42といえばロースタッガードですが、rev2ではオーソリニアバージョンをまず提供します。もとより40%オーソリニアの本家本元であるOLKBのPlanckは最大8個のロータリーエンコーダーを搭載可能でしたが、Aleth42 Orthoでこの方式を拡張し、左右端列の8個に加えて最大合計12個搭載可能な基板構成になっています。最近の自分の関心はハードウェアとファームウェアが絡むちょっとした新しい試みに向いていたりします。
さらに、対応するエンコーダーは従来のEC11、EC12だけではなく、スワッパブルなエンコーダーにも実験的に対応しています。実験的というのは、対応する商品が特定のメーカーに限られており、規格化されているものではなく、入手経路も限定されることを考えてです。使えたらラッキーといった程度で受け止めていただけたらと思います。個人的にはすでに2年ほど使っています。
なお、レイアウトはPlanckに準じており、スペースバー部分は2uもしくは1u + 1uのいずれかを選択可能です。
仕様
- スイッチソケット(MX互換のみ※)
- ロータリーエンコーダー対応(最大12箇所※)
- 1.6mm厚 PCB
- RP2040採用
- QMK / Vial対応
- アンダーグロウLED
※Type−Cコネクタの両隣となる最上段2キーについてはソケットが上下反転の配置、いわゆるNorth-Facingとなっています。これにより一部プロファイルのキーキャップではスイッチのハウジングと微妙に干渉してしまいます。スイッチの種類や個人差により気にならないケースも多いですが、微細な干渉が許せない場合は、該当する2キーのみハンダ付けすることによって干渉が発生しないSouth-Facingで実装可能となるように設計しています。
※一般的な(はんだ付けが必須となる)ロータリーエンコーダーに加え、Skyloong製のスワッパブルなエンコーダーにも対応。エンコーダー取り付け可能位置は上図の黄緑部分。
Row staggeredバージョンの変更点
ロースタッガード版についても基本的にオーソリニア版と同じ仕様で、rev1から進化しています。
仕様
スイッチソケット(MX互換のみ※)
- レイアウトが単一に
- ロータリーエンコーダー対応(最大2個所※)
- スリットのない1.6mm厚PCB
- RP2040採用(QMK / Vial)
- アンダーグロウRGB LED
一番大きな変更点はスイッチのはんだ付けが不要なソケット仕様となったことでしょう(※)。これに伴ってユニバーサルレイアウトではなく40%キーボードでは一般的と思われる単一のレイアウトとなりました。
※Type−Cコネクタの両隣となる最上段2キーについてはソケットが上下反転の配置、いわゆるNorth-Facingとなっています。これにより一部プロファイルのキーキャップではスイッチのハウジングと微妙に干渉してしまいます。スイッチの種類や個人差により気にならないケースも多いですが、微細な干渉が許せない場合は、該当する2キーのみハンダ付けすることによって干渉が発生しないSouth-Facingで実装可能となるように設計しています。
※一般的な(はんだ付けが必須となる)ロータリーエンコーダーに加え、Skyloong製のスワッパブルなエンコーダーにも対応。エンコーダー取り付け可能位置は上図のオレンジ色部分。
40%キーボードを実用にするレイヤー
ーーちっちゃくてかわいいけど、このキーボード実用になるの?
これはわたしが初めてこの手のキーボードを見たときに感じたことでした。だって当然あるべき位置に数字キーがありません。数字キーがないということは記号も打てないはず。というとこれは英文を打つだけのためのキーボードなんだろうか? そのときのわたしはキーキャップの文字=入力される文字という「常識」に縛られていました。
ちなみにALETH42のような40%ロー・スタッガード(row staggered)レイアウトの大元は、jdcarpe氏によるJD40という10年以上前のプロジェクトになります。
https://geekhack.org/index.php?topic=47133.0
もちろん、40%キーボードだって数字も打てれば記号も打てます。それどころかフルサイズキーボードを超えるキー数をハンドルすることも出来ちゃうのです。それを可能とするのがレイヤーという仕組みです。
上のレイアウトはALETH42の初期キーマップになります。最下段の中央にはミニバーが2個並んでいて、左側はスペース、右側はバックスペースが割り付けられています。そして、スペースの上にはLT1、バックスペースの上にはLT2と書かれているのが確認できます。
このLT1やLT2というのがレイヤーを発動可能なキーになります(レイヤーを発動する方法はほかにもあります)。
具体例として記号の「!」を入力する場合を考えてみましょう。数字行のある一般的なキーボードで「!」を入力する際はシフトを押しながら数字行の「1」を押すことになりますが、数字行のないALETH42では「LT1」(つまり左側ミニバー)を押しながら「Q」を押すと「!」が入力されます。レイヤー1のキーマップ(以下の図)を見ると「Q」の位置に「!」が割り付けられていることがわかります。「LT1」のLTとはLayer-tapの略で、シフトやコントロールキーと同じように押しながら他のキーを押すことで指定したレイヤー(この場合はレイヤー1)の該当するキーに割り付けられた入力を得られ、また、タップする(押してすぐに離す)ことで指定したキー(この場合はスペース)の入力を行うという挙動になります。
では、数字の「1」を入力したいときはどうすべきでしょうか? 答えは右側ミニバーを押しながら「Q」です。右側ミニバーを押しながら「W」を押すと「1」、「E」を押すと「2」、「E」を押すと「3」といった具合に、ALETH42の最上段はレイヤーの1番2番を有効にすることで数字行として機能するというわけです。 ちなみにレイヤー3にはファンクションキーが割り付けられているので、下から2行めの右端に位置する「LT3」を押しながら「Q」を押すと「F1」、「W」を押すと「F2」……「P」を押すと「F10」が入力されます。 ALETH42 rev2にはこうしたレイヤーが10枚(!)あるため、通常のキーボードを軽く超えるキーコード数をハンドルすることが出来ます。単純なキー入力だけでなく、マクロとして登録したキーをまとめて入力することも可能です。下のスクリーンショットはVialのweb(https://vial.rock)でマクロの0番に「ALETH42」という文字列を登録しているところですが、このようにVialでは簡単にキーマップの変更をオンザフライで行うことが出来ます。
Vialではロータリーエンコーダーの割り付け変更も可能です。ALETH42にエンコーダーを取り付けた場合は、下の図のようにLayoutタブの中で該当するEncoderにチェックマークを入れます。
するとKeymapタブにエンコーダーのノブのアイコンが現れます。
右側のエンコーダーが有効にしたため、右上にエンコーダーの丸いマークが2個出ています。左側が左回転、右側が右回転の入力に紐づいています(エンコーダーの種類によっては反転タイプがありますので、その際は逆に割り付けてください)。エンコーダーもまたレイヤーごとに設定可能ですので、このレイヤーではページアップ/ダウンやマウスホイール、別のレイヤーではボリューム、また別のレイヤーではバックスペースとデリートなどなど、様々な機能を自在に割り付けることが出来ます。
ALETH42 ORTHOのトップレイヤーの例はたとえば以下のようなものがあります。これは初期設定から若干変更し、アロークラスター(矢印キー)を横一列から通常の配置に改変し、エンターを2行目にしています。こうした変更はすべてChrome上のhttps://vial.rocks/から行えます。
ALETH42 ORTHOはまもなく Boothで販売を開始する予定です。
